『エンド・オブ・ステイツ』『グリーンランド -地球最後の2日間-』に続くジェラルド・バトラー主演×リック・ローマン・ウォー監督のコラボ作『カンダハル 突破せよ』を観る。
身バレした潜入工作員と同伴する通訳がアフガニスタンから決死の脱出を試みる大味なサバイバルアクションかと思いきや、混迷を極める中東情勢やそこで暮らす人々の実情にもきちんと目を向けた思慮深い作風で驚かされる。
死と隣り合わせの旅の中で絆を深めていく主人公と信仰心の厚い通訳の友情ドラマを軸にしつつ、旧態依然とした祖国に嫌気がさしている若きエージェントや、家族や部下想いの軍大佐など、追跡者側の人間ドラマもきちんと描いているのが素晴らしい。
人の土地を土足で踏み荒らす行為を正当化し続ける欧米諸国と、神の名の下に人々を殺し続けるイスラム過激派組織を同様に批判し、終わりなき戦争によって苦しめられるのは何時の時代も民間人だと訴える。
主人公たちが助かったら全部忘れてハッピーエンドではなく、敵味方問わず犠牲者に思いを馳せ、各々が「家に帰る」象徴的なラストシーンで締め括る、アクション映画でありながら深いメッセージ性を兼ね備えた良作でした。