回を増す毎にパワーアップし興行収入記録を更新し続けるキアヌ・リーブス主演の人気シリーズ第4弾。
これまでは割とちゃんとしたドラマがあったのだが、今回はいよいよ「アクション」が「手段」ではなく「目的」と化して一線を越えた印象。
砂漠でのチェイス~エキゾチックなJAPANで展開する導入部から凱旋門でのカーフー、ゲームのような俯瞰視点で描かれる「ドラゴンブレス弾」無双や、最早ギャグな222段の階段落ちなど、手を変え品を変え展開する新しさと懐かしさを織り交ぜた怒涛のアクションに全リソースをぶち込んでおり、場面展開の不自然さなど考えたら負けと言わんばかりにひたすら強引に突き進んでいく。
世界観も更に「コミック」化し
・重武装の相手に弓と刀と手裏剣と相撲取りが肉体1つで挑む大阪コンチネンタル。
・男たちが斧で頭をかち割られてるのに周囲でダンスを続けるパリピ。
・銃撃戦の真っ只中に臆することなく突っ込んでくる一般車。
・何より撃たれても斬られても落とされても轢かれても死なないターミネーターなジョン・ウィック。
とツッコミ出したらキリがない。
ネタバレになるから言わないがシリーズの常連を呆気なく退場させる悪い続編ムーブを初っ端でかまして「おいおい…」と思ったが、仕込み刀を使う盲目の達人という完全に『座頭市』なドニー・イェンの美味し過ぎるキャラに対し、『ブレット・トレイン』と同じ役じゃね?と疑いたくなる真田広之氏の型通りかつミーム通りの扱いはハッキリ言って不満しかない。
上映時間はシリーズ最長なのにキャラの掘り下げが総じて弱く、キアヌ&ドニー&真田の3人が旧知の中というのがイマイチ伝わってこないなど、ドラマ的な盛り上がりは全4作中最も悪かったと言わざるを得ないのだが、シリーズ集大成+αの超過剰アクションでもって全てをカバーしてしまう力業一本な作品でした。
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