ここ数年『ARISE』『実写版』『2045』と残念作が続きファンの期待に応えられていない『攻殻機動隊』ブランドの中で、押井守監督の劇場版とは違う可能性として制作され好評を博した『STAND ALONE COMPLEX』(以下『S.A.C.』)の世界に現実が遂に追い付いてしまいました。
(厳密には劇中において過去の出来事に当たる「笑い男事件」が発生したのが2024年2月1日なので本編に追い付くのはもう少し先)
「笑い男事件」の印象的なテレビ中継シーンは渋谷駅前がモチーフになっているが、令和6年の世界の方が東急百貨店東横店が取り壊され超高層ビルがそびえ立つ、アニメよりも更に未来都市化しているのだから何とも凄い話。
思えば『S.A.C.』は描かれるテーマこそ何ら陳腐化していないが、やはりビジュアル的にはメカを除いて手描きだったり、今となってはかなり牧歌的なアニメ見える。
それもそのはず制作・放送は20年以上前。
私は当時有料放送が観れなかったのでソフトを全巻買い集めたが、2話収録・1時間程度のDVDが1巻あたり7000円オーバーで売られていたとか、今の感覚で言えば正気の沙汰ではないが、それが成立する時代だったのだ。
話を戻して「笑い男事件」。
劇場型犯罪を追う刑事ドラマとしてもすこぶる面白いのだが、やはり高度に情報化された社会で起こる「オリジナルの不在が、オリジナルなきコピーを生み出していく」現象として提唱された「スタンド・アローン・コンプレックス」は今まさにネット社会で行われている、当事者たちを差し置いて外野がさも自分たちが当事者であるかのように振る舞い物事が爆発的に拡散し収拾がつかなくなる様を言い当てており背筋が寒くなる。
奇しくも同時期に発売された小島秀夫監督の『MGS2』が指摘したデジタル化による真実の飽和など、当時より今の方がすんなり内容を理解できるのは、作品に時代が追い付いた証左であり、当時チンプンカンプンだった人も今観返すと作品そのもののに対する印象や評価が変わるかもしれません。
"#笑い男事件"、発生―― #攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX
— 攻殻機動隊 SAC_2045 公式 (@gitssac2045) 2024年1月31日
The Laughing Man😄
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