いまここにあるもの

カメラとか自転車とかアニメとか映画なんかが好きなオタクが管理する闇鍋ブログです。調子が悪いと文章が破綻します。旧ブログはこちらに移管しました→https://otaku4160.hatenablog.com

NETFLIXの実写版『ONE PIECE』を観た。

という事で国内外で繰り返される日本発の人気IPの望まれない実写化の新たな贄、実写版『ONE PIECE』を観た私です。

映画史に残る伝説級の黒歴史となった『ドラゴンボール』の悪夢や、嘘か実か原作者のダメ出しによる作り直しで配信延期やエピソードの短縮などもあって「約束された駄作」という前評判が極まっていた所為か「批評家・視聴者ともに高評価」などと報じられていますが、私に言わせれば「いや…これくらいが最低ラインだろ?」というのが率直な感想。

確かにNETFLIX案件では義憤でなく性欲で動く月と銃を手に暴力を肯定するLという頭脳戦とは程遠かった『デスノート』、ハードボイルドでもスタイリッシュでもない『カウボーイビバップ』、スタッフが原作愛ではなくポリコレ配慮にお熱だった『バイオハザード』などと比べれば、はるかに良く出来ているが比較対象がゴミクズばかりで加点が甘々になっている感は否めない。

当方原作は本誌連載時に読んで以来ご無沙汰、アニメ版も観ずに離れてしまった勢なので、細かな部分がこうだとか言えないのだけど、1~2話は演出も凝っていて実写版『るろ剣』レベルで成功していると思えたが、劣化版ティム・バートンと化した3~4話で失速し、「クソお世話になりました」な5~6話で持ち直し、7~8話はアクションで何とか押し切ったという印象。

実写化でまず議論になるのは配役だがメインキャラクターや一部サブキャラに関しては称賛できるレベルの完成度で本当に凄い。
「麦わらの一味」だとゾロとサンジが立ち回り含め完璧で、あんま話題に上らないが個人的にコビーがコビー過ぎて「マジコビーじゃん!!」(相方のヘルメッポも良い味出してる)となったんだけど、中には手抜きとしか思えないその場で宛がったようなミスキャストもチラホラ。

それが端役であれば許容できるがホモ臭くてスマートじゃない「キャプテン・クロ」には心底ガッカリだし、「ノコギリのアーロン」はドウェイン・ジョンソンくらいタッパのある人を配するべきだったと思わざるを得ない。
(いっそのことCGで体格を盛っても良かった)

物語としては普通に面白いのだが、十中八九それは原作の力であって、実写版スタッフの功績ではない点に留意したいが、害悪でしかないポリコレなどで汚染せず素直に「東の海(イーストブルー)編」を全8話のドラマとして再構成した点はこのご時世評価に値すると思う。

個人的にはアクションが鑑賞に堪えうるクオリティに仕上がっていただけで御の字で、「素人がじゃれ合ってんのか?」てくらい酷いお遊戯だった『カウボーイビバップ』とは雲泥の差。

真剣佑ゾロは流石の太刀捌きだし、中の人が確り鍛えたらしいサンジの足技はマジで格好良くて、2人がアーロンパークで共闘するシーンは今シーズンのハイライトと言っても過言ではない。

近年の実写化作品の中では間違いなく成功例ではあるが、前記の通り「これくらいやって(やるのが)当然」であり、尾田栄一郎さんが多忙な中、あれこれ舵取りしてようやくこうなったことを鑑みると、やはり及第点がいいところ。

NETFLIXとしては『ストレンジャー・シングス』の後釜にしたいのだろうが、続きが観たいか?と聞かれれば正直微妙だし、ここから先、少年マンガ然とした描写が加速していくので、今回の数倍の予算を確保しマーベル映画並みにVFXを駆使する覚悟がないなら手を出さない方がいいでしょうね。