いまここにあるもの

カメラとか自転車とかアニメとか映画なんかが好きなオタクが管理する闇鍋ブログです。調子が悪いと文章が破綻します。旧ブログはこちらに移管しました→https://otaku4160.hatenablog.com

『悪女/AKUJO』(2017年) -★☆☆☆☆-

f:id:otaku4160:20200611022632j:plain

カンヌ国際映画祭コンペティション部門にも出品された『ジョン・ウィック』シリーズのジョン・スタエルスキ監督お気に入り映画『悪女/AKUJO』がアマプラに来たので鑑賞。

物語はフィアンセの命を奪った組織を1人で壊滅させた女殺し屋が、その能力を買われ政府のお抱え暗殺者となり、身籠っていた子供と自由を手に入れる為に黙々と汚れ仕事をこなしていたら、死んだはずのフィアンセが新たな標的として彼女の前に現れるというもの。

全編主観映像で制作された『ハードコア』(2016年)と共に公開当時アクション映画ファンの間で話題となったアバンのカチコミシーンは噂通り凄まじく、お世辞にも観易いとは言えないのだが、鏡に頭を打ち付けるカットで主観から三人称に切り替える秀逸な演出など、マイナス面を情熱で捻じ伏せる辺りは流石、韓国映画といったところ。

他にもジョン・スタエルスキが惚れ込み『ジョン・ウィック:パラベラム』でオマージュを捧げたバイクチェイスなどエポックメイキングなアクション満載で、何気に上記シークエンス以外にも同作の元ネタと思われる要素が散見し一見の価値あり。

ただそれ以外の部分はことごとく微妙で、中盤の安っぽいメロドラマパートは「別作品でやれよ!」って感じの浮きっぷりで邪魔臭く、怪し過ぎる隣人に簡単に心を許すチョロイ主人公や、裏工作がお粗末極まりない組織の無能っぷり
そして警察に追われてるのに足が遅くて目立つバスに取り巻きと一緒に仲良く乗車して逃走する頭の悪い黒幕など「お前ら揃いも揃ってバカなの?」と思わざるを得ない。

ハリウッドの第一戦で活躍するスタント出身の監督が舌を巻いたアクションの完成度に対し、欲張り過ぎて取捨選択を誤ったグダグダな脚本はオチを含め酷いの一言
『アジョシ』みたくその辺りのバランスが取れていれば、新たなマスターピースとなっていたかもしれないのに本当に勿体ない作品であった。