いまここにあるもの

カメラとか自転車とかアニメとか映画なんかが好きなオタクが管理する闇鍋ブログです。調子が悪いと文章が破綻します。旧ブログはこちらに移管しました→https://otaku4160.hatenablog.com

『Mr.ノーバディ』(2021年) -★☆☆☆☆-

『96時間』の時のリーアム・ニーソンよろしく、アクションをするイメージの無かったボブ・オデンカークが『ジョン・ウィック』制作チームプロデュースの下、隠居したアメリカ政府お抱えの汚れ仕事専門エージェントに扮し、そうとは知らずにちょっかいを出して来たマフィアを文字通り血祭りにあげる「怒らせた相手が殺人マシーン」系映画『Mr.ノーバディ』がアマプラに加わったので鑑賞。

『96時間』しかり、『イコライザー』しかり、『ジョン・ウィック』しかり、このジャンルは相手がクズであればあるほど盛り上がるのだが、本作は主人公がバスで迷惑行為を働いたマフィアの親類を八つ当たりで危篤状態にしたのが発端とあって(要するに切っ掛けを作ったのは主人公なので)爽快感が大きくスポイルされてしまっている。

そもそもこの主人公は正義感に目覚めたとか贖罪の為に足を洗った訳では無く本質的には自分本位なサイコパスであり、クリストファー・ロイド演じる親父や、2人に協力する異母兄弟を含め、エゲツない手段で嬉々として人を殺しまくるもんだから、途中からマフィアの方が被害者に見えてきて同情してしまった。
「そういう仕事に従事した人間は平穏な日常では安息を得られない」という退役軍人の悲哀を描くのかと思いきや、あれだけ殺戮を繰り広げて最終的に全員漏れなく無罪放免になるなど、キャラも物語も歪過ぎて私はどうにも好きになれなかった。