元JAXA職員よろしく内情に詳しい人間には「こんなのリアルじゃない」とマジレスされる、夢と希望とフィクションを交えながらアニメ業界の内幕を描いたヒット作『SHIROBAKO』の劇場版を遅ればせながら鑑賞。
TVシリーズの大団円から数年。
社運を賭けた元請作品が大人の事情でお蔵入りとなり仲間達が散り散りになってしまった武蔵野アニメーション。
自身もモヤモヤした気持ちを抱えたまま日々を過ごしていた宮森あおいの下にある日、起死回生の劇場用アニメーションの企画が舞い込む…。
細部は違えど『東京BABYLON』の騒動を予見したようなトラブルで全てがリセットされたところから始まる劇場版。
アニメ制作によって傷つき離れていった面々がアニメ制作を切っ掛けに再び集い、自分の役割や周りの人たちとの関係を見つめ直し、仕事に対する情熱を取り戻していく展開はお約束だが胸が熱くなること請け合い。
業界の悪しき風習や嫌な奴を「ぎゃふん」と言わせたり、絵が動く事を純粋に喜ぶ子供たちの存在など、ご都合主義的な要素も散見するが、そこは作り手が込めた未来への希望なのだから批判すること自体が野暮というもの。
尺の都合かアニメ制作に関するトリビアが減った点や、既存のメンバー(興津さんとか)で代用できそうな存在感の薄い新キャラ、それでいてやたらと長く手の込んだミュージカルシーンなど気になる部分は間々あるものの、全ての働く人々へのエールが込められた素敵な「お仕事アニメ」であり、TVシリーズのオールスターキャストが勢ぞろいした見事なファンムービーでした。
(それにしても遠藤さんの奥さんは天使過ぎるよなぁ…)