いまここにあるもの

カメラとか自転車とかアニメとか映画なんかが好きなオタクが管理する闇鍋ブログです。調子が悪いと文章が破綻します。旧ブログはこちらに移管しました→https://otaku4160.hatenablog.com

NETFLIX版『スプリガン』1stシーズンを一気観する。

原作 たかしげ宙×作画 皆川亮二による往年の人気コミック『スプリガン』が昨今のおっさんホイホイ案件としてNETFLIXプレゼンツで再アニメ化。
パンデミックによる制作の遅れもあって随分待たされたので配信開始と同時に一気観してしまいました。

個人的に黒歴史扱いされるのが納得いかない大友克洋総監修×スタジオ4℃制作のオーパーツ級のクオリティを誇る劇場版が、配役や蓜島邦明さんのエキゾチックな音楽を含め気に入っているのでスタッフ・キャスト総入れ替えとなった今回の再アニメ化は正直不安だったのですが、シリーズ物としてはまずまずの出来で一安心。

手描きという触れ込みながらティーザーなどはCGにしか見えず「どうなってんの?」と思ったら、動きの少ないシーンは手描き・アクションや情報量の多い部分はCGという使い分けで、二つの表現が思いのほかシームレスに切り替わり技術の進歩を感じる。

キャラクターデザインは原作に寄せるより今風のテイストでまとめているので劇画度は半減。
担当したのが元GAINAX・現TRIGGERの半田修平さんなので、そのテイストが強く出ており、崩し顔を多用する作画方針を含め原作ファンの好き嫌いが分かれそう。
(具体的に言うと、ところどころ「天元突破」や「キルラキル」しそうになる)

1stシーズンは「炎蛇の章」「ノアの方舟篇」「帰らずの森篇」「狂戦士の章」「水晶の髑髏」「忘却王国」の全6エピソードで時間は各話OPとED含めて約45分。
原作とは順番が一部前後していますが全体の流れとしては問題のない入れ替えなので、今後他のエピソードを映像化するにしても影響は無さそう。

スマホSNSなど時代設定は現在に移されているものの基本的に原作準拠で物語は展開。
優が「C.A.Rシステム」(ジョン・ウィックの構え方と言えば分かり易い?)を使うといったアップデートには唸らされたし、決めカットは原作をきちんとトレースしていて愛を感じる。

無論、重箱の隅をつつけばセリフのニュアンスや効果音、細かな演出や改変部など気になる点は間々あるものの、それを言い出すと面倒くさいファンになるのでここでは割愛します(笑)。

「炎蛇の章」は初映像化なのですんなり観れたのですが「ノアの方舟篇」は劇場版と同じ題材故にどうしても見劣りしてしまい、特にファットマン&リトルボーイとの戦いは配島邦明さんの音楽や、その使い方を含め劇場版の演出が神がかっていたのだなと再認識させられた。

「帰らずの森篇」では気持ち悪い魑魅魍魎の手描き描写が素晴らしく感心していたら「狂戦士の章」で雲行きが怪しくなり「水晶の髑髏」は観るに堪えないレベルまで崩壊。
この回は私服での戦闘ばかりで手描きの負担が大きいのに、そこにリソースを割けなかったのは痛いし、最後に優が手榴弾を投げるシーンだけ整ったCGに切り替わるもんだから落差が余計強調され萎えました。

幸い1stシーズンラストを飾る「忘却王国」で持ち直し、手描きによるアクションも一級品なら、大塚明夫さんのフォスター船長や菅生隆之さんのボーマン教官のイメージも解釈一致でうっとり。
Cパートでは2ndシーズンへの引きとして「COSMOS」の金谷唱も登場しますが、そのCVが旧作で優を演じた森久保祥太郎さんというサプライズで「スタッフやりやがったな!!」と思わず叫んでしまった。

昨今の国際情勢や原作通りの人体破壊描写もあって地上波での放送は100%不可能なので、その辺りをクリアできるネトフリ案件になった事は結果として正解だったように思う。
もっとも「鉤十字」や「ネオナチ」はNGだったようで、それらの描写ははぐらかされていましたが…。
(NETFLIXOVA版『HELLSING』も配信してるのにね!)

OPアニメーションにティアも映ってるし2ndシーズンは織り込み済みと思うけど監督の小林寛さんが現在『機動戦士ガンダム 水星の魔女』を鋭意製作中なので、続投するならそちらが終わってからになりそうな予感。
そもそもネトフリは分割配信だと次のシーズンまで時間が開くのが通例なので気長に待つとしましょう…。