元々キャスリン・ビグロー監督×トム・ハンクス主演で動いていたものの、すったもんだあってスタッフ&キャストが総入れ替えとなりネトフリ配信に落ち着いた『トリプル・フロンティア』を鑑賞。
国に全てを捧げたものの退役後は社会的地位も老後の生活も保障されず日陰者として暮らす米軍の元特殊部隊員たちが麻薬王の隠し財産を奪い取り一攫千金を狙う犯罪スリラー。
当初の監督が監督だけに退役軍人の扱いなど米国の社会問題が下敷きになっており、そんな彼らが「自分の能力は自分たちの為に使おう」と決意し行動した結果どんどん悪い状況に追い込まれて行く姿がドゥニ・ヴィルヌーヴの『ボーダーライン』を彷彿とさせる映像と共に哀愁たっぷりに描かれる。
現役時代は冷静沈着なプロフェッショナルだった者たちが金に目がくらみ冷静さを欠き次々と失敗を重ねていく姿は観る者への「戒め」となっており「あれだけ苦労したのだからこれくらいは…」「せめてもう少し…」と選択ミスを積み重ねた結果、大切なものを失ってしまう展開は身につまされる。
因果応報と言われればそれまでだが信念を失い犯罪者に堕ちた者の末路はあまりに惨めで切なく、観ていて気持ちのいい話ではないが最後まで緊張感が持続するネトフリにしては珍しい秀作で、嵌り役なベン・アフレック以下、オスカー・アイザックやペドロ・パスカルなど豪華出演陣も渋格好良かった。