いまここにあるもの

カメラとか自転車とかアニメとか映画なんかが好きなオタクが管理する闇鍋ブログです。調子が悪いと文章が破綻します。旧ブログはこちらに移管しました→https://otaku4160.hatenablog.com

『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』(2017年)

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岩井俊二(原作)×大根仁(脚本)×新房昭之(総監督)という実写・アニメ業界の第一線で活躍するクリエイターがタッグを組んだアニメ版『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』が先日BSで放送されたので録画視聴。

私は岩井俊二さんが手掛けたオリジナル版を未見なので、それと比べての批評はできませんが確かに微妙な出来で巷の評価が低いのも納得。
主題歌の「打上花火」が素晴らしかったので、それに見合う本編を期待していたのだが…。

物語は主人公が自身の選択を悔い夏休みの1日を繰り返すタイムリープもの…というよりノベルゲームの分岐点でセーブして、バットエンドになったらそこからロードしやり直してるという方が正しい気がする。
ビジュアル的にもスタッフ的にも『物語シリーズ』なのにシャフトらしい強烈な個性が中途半端に抑制され、終盤に掛けての盛り上がりも乏しければ、幕引きも唐突で観客の疑問や欲しかった答えが何一つ提示されないのは如何なものか?。

これを「想像の余地を残した」と言えばそれまでだが、とにかく抽象的で話の繋がりが分かり難く、主人公のヒロインに対する感情や、彼を取り巻く悪友との関係性もイマイチ見えて来ないので青春群像劇としての感動もない。
映像美にしても前年の『君の名は。』を越えろ!とは言わないが劇場作品なのだからもう少し上を目指して欲しかったし、せっかくなのだからダイナミックな「見せ場」だって用意して欲しかった。

ちなみに批判の的となった主役2人の演技は上記の問題に比べれば些末なもので、実写的な演技で全体のバランスを取り持った宮野真守くんのお陰もあって、私はそこまで悪いとは感じませんでした。