Amazonスタジオが初めて国内作品の制作に関わり、海自の監修および潜水艦部隊の撮影協力を受けた話題作『沈黙の艦隊 シーズン1 ~東京湾大海戦~』を観る。
当初、劇場作品という体で封切っておきながら、後出しで「追加シーンを加えた完全版をドラマシリーズとして配信します」は映画館まで足を運んだ人間をバカにしているようで「どうなのよ?」と思ったが、今のところ炎上などはしていない模様。
この手の国防をテーマにした作品の実写化は『亡国のイージス』にしても『空母いぶき』にしても日和って「北朝鮮」や「中国」の名前を伏せるヘタレばかりで全く期待していなかったが、不思議な事に対立する相手が「米国」だとガッツリ踏み込んだ描写が出来るのだから、それはそれで何だか薄気味悪い。
ストーリーは日米共同で極秘建造した原子力潜水艦が核武装をちらつかせ反乱を起こすという実にセンシティブな内容なのだが、海上自衛隊の現職艦長がイージス艦を乗っ取る『亡国のイージス』では防衛庁(防衛省)が協力を渋り改変させたと聞いたが、ここ数年で大分態度が軟化したということだろうか?。
潜水艦にアクションカメラを取り付けて撮影された潜航シーンなど外国映画を含め見た事のないようなカットや、スタッフが実物を見学し再現した潜水艦内のセットなど実写シーン全般は迫力とリアリティがあって大変見応えがあるのだが、VFX主体のシーンは演出が淡白かつCGも『終戦のローレライ』の頃に比べれば良くなっているとは言え粗が目立つ。
(スタッフロールを見ると「白組」も参加しているが『ゴジラ-1.0』の実写と見紛う海戦シーンに比べると予算の都合かやはり見劣りする)
海自が反撃しないと踏んで先制攻撃を仕掛ける米海軍や、日本側に責任を押し付けたい米国政府(大統領役の人が若干ゲイリー・オールドマンorサム・ロックウェルっぽい)の高圧的な態度など、ともすれば反米的と言われそうだけど、それを臆することなく描いているという点で、原作を無視して忖度を重視した志の低い製作者との違いは感じる事ができる。
シーズン1は全8話構成でラスト2話は16日配信なので、そちらを観たら改めて感想を書きたいと思います。