いまここにあるもの

カメラとか自転車とかアニメとか映画なんかが好きなオタクが管理する闇鍋ブログです。調子が悪いと文章が破綻します。旧ブログはこちらに移管しました→https://otaku4160.hatenablog.com

『モスル ~あるSWAT部隊の戦い~』(2019年) -★★★☆☆-

世界の関心がウクライナ、そしてパレスチナへと移り換わりイラクが忘却されつつある今このタイミングでルッソ兄弟がプロデュースした2019年の実録戦争映画『モスル ~あるSWAT部隊の戦い~』を観る。

スタッフに関しては欧米中心だがキャストは無名の役者を起用し全編アラビア語で展開するクリント・イーストウッドの『硫黄島からの手紙』スタイルで、イラク第二の都市モースルでの現地SWAT部隊とイスラム国の戦いを描く。

窮地を救われた新米警官がその場で補填要員としてスカウトされ、任務の全容を知らされないまま部隊に加入するライブ感でもって、観客は一気に最前線に叩き込まれる。

復興を考慮しない連合軍の度重なる軍事作戦によって荒廃した街。
イラン人将校は「ここは呪われた地だ」「お前たちには誇れるものが無い」と蔑むが、そこで生まれ育った者にとっては唯一の故郷であり、だからこそラストで明らかになる「大義」でも「私怨」でも、ましてや「神の教え」でもない「部隊の真の目的」が重い余韻と微かな希望を残す。

監督のマシュー・マイケル・カーナハンはこれがデビュー作らしいが、脚本家として『キングダム/見えざる敵』に参加していたとのことで妙に納得。
しかもジョー・カーナハン実弟だそうで、そりゃあ骨太な作品が上手いわけだ。