いまここにあるもの

カメラとか自転車とかアニメとか映画なんかが好きなオタクが管理する闇鍋ブログです。調子が悪いと文章が破綻します。旧ブログはこちらに移管しました→https://otaku4160.hatenablog.com

『攻殻機動隊 SAC_2045』SEASON 2を一気観した感想。(ネタバレ含む)

ワクチンの副反応対策で家に引き籠っていたら『攻殻機動隊 SAC_2045』SEASON 2の配信がスタートしたので一気観してしまった私です。
パンデミックの影響なのかSEASON 1から2年ぶりの続編ですが、安心して下さい
今回はちゃんと完結しますよ!!。

あのバトーが押しの強い後輩にセクハラを指摘するなど時代の変化を感じつつ、初手からロシア絡みの案件だったり、核抑止の有用性だったりと奇しくも現実問題とリンクしてしまう恐ろしさはこのシリーズならでは。

当初は「ポスト・ヒューマン」という得体のしれない存在の不気味さ、『シン・ウルトラマン』風に言えば外星人の侵略なんじゃね?ってくらい匂わせていたのに、蓋を開けてみれば米国が作ったプログラムが原因でしたという「人形使い」展開で、そっからはポスト・ヒューマンそっちのけで証拠隠滅をしたい米国と自国で好き勝手やられてなるものかという日本の駆け引きがメインになって『シン・ゴジラ』っぽさも感じる。
(※『シン・ゴジラ』の初期段階では神山健治さんも脚本で参加していた)

シリーズファンとしては新キャラ「江崎プリン」(まさかのサービスシーン満載!!)の過去に「とある事件」が関わっていて心底驚かされたし、それがタチコマに負けず劣らずな感動エピソードに仕上がっていてガッツリ泣かされたのだけど、既存の9課メンバー(と同じく新キャラの「オモシロ」)には個別エピソードが用意されず完全に脇役扱いだったのが実に残念。

「S.A.C.」はチームワークによって事件を解決するのが醍醐味だと思っていたがそれも希薄だし、海外市場を意識したのか流れ弾や跳弾といった二次被害を気にせず派手さ第一主義で展開する市街地でのドンパチにも毛色の違いを感じずにはいられなかった。

終盤は「個別の11人事件」+「人形使い」をミックスしたような展開で、大深度施設での戦いや9課VS米特殊部隊という構図、クゼ・ヒデオとシマムラタカシの類似性(更に言えばアオイに通じる青臭さや古典の引用)など『2nd GIG』のセルフリメイクなのでは?と感じる部分も多々あったが、難民の生活をきっちり描いたあちらと違い、今回は300万人居るとされる賛同者の存在が見えてこず、なまじ似た事をやっているだけに群像劇としては弱く感じた。

タイトルの元ネタで2045年に起こるとされるAIが人類の知能を超える「技術的特異点」(シンギュラリティ)の伏線が回収されるクライマックスは転じて「人類の進化」というかなり壮大なところまで話が拡大しセカイ系化するが、変質する前のミズカネスズカやシマムラタカシのゴーストに救いはあったのかと複雑な気持ちにさせられる。

肝心なところで暗転し「どちらを選択したかハッキリさせない」クリストファー・ノーラン的なラストは、押井守版『攻殻機動隊』に倣って少佐が9課と決別するニュアンスも含まれていたので、この世界線での続編は望めないかも?。
(やったとしても『イノセンス』みたく少佐が居ない9課になりそうな予感)

以前も触れたようにキャラクターを含めたフルCG化には思うところがあるのですが、確実に表現のレベルはアップしていたし、直近の『ARISE』が手描きでやってクオリティコントロールできていなかった事を思うと、これで良かったのかもしれません。
未来を見据えながら今そこにある問題を描くという手法や、数年後に観ると物語の真実味がより増しそうな点を含め、なんやかんや確り「攻殻S.A.C.」だったと思います。