いまここにあるもの

カメラとか自転車とかアニメとか映画なんかが好きなオタクが管理する闇鍋ブログです。調子が悪いと文章が破綻します。旧ブログはこちらに移管しました→https://otaku4160.hatenablog.com

『ゴジラ-1.0』(2023年) -★★★★★- (ネタバレほぼ無し)

シリーズ生誕70周年にして国内実写作品第30弾という記念タイトル『ゴジラ-1.0』がいよいよ公開。

日本の現役監督の中で最もVFXを熟知していると同時に、当たり外れが激しく最近は悪評の方が目立つ山崎貴という人選から期待と不安半々だったが、結果から言えばきちんと「日本のゴジラ」としてあるべき姿で完成されていて面白かった。

どう足掻いても比べられる『シン・ゴジラ』に対し、「現在」ではなく「過去」を舞台に、「群」ではなく「個」にフォーカスし、「官」ではなく「民」の戦いを描いた差別化は大変興味深く、初代ゴジラの直系でありながら真逆のアプローチを取ったこの2作品によって次回作のハードルは更に上がったことは間違いない。

オリジナリティという点では『ジュラシック・パーク』な出だしから『ジョーズ』→『ギャレゴジ』→『シン・ゴジラ』→『バトルシップ』→『ダンケルク』→『GMK』といった感じで既視感の連続なのだが、武装解除され丸裸状態の日本がいかにしてゴジラに挑むのか?というアイデアは斬新だしサプライズ兵器の登場など心躍る。

何より映像面のクオリティが世界に出しても恥ずかしくないレベルに仕上がっており、ハリウッド予算の数10分の1でこれを実現したことが本当に誇らしい。
庵野さんは「銀座がイイ」と仰っていたが、個人的には海上シーン全般の素晴らしさに脱帽。
真面目な話『ゴジラVSコング』よりリアルで説得力がある。

生き残ったことに罪悪感を抱く帰還兵の苦悩や、人命を軽視しながら全く反省しない無責任な国家に対する批判。
オリジナル版がそうであったように「反米」ではなくあくまで「反戦」というテーマ性を強く訴える内容も評価したいし、自己犠牲を美徳とする風潮を否定し「生きて、抗え。」というキャッチコピーに偽りのないメッセージ性も青臭さはあるものの胸をうつ。

朝ドラ要素が鼻につくという意見もありそうだがキャスティングは偶然の一致らしいし、男女のドラマは初代にもあったので実は『シン・ゴジラ』より原作準拠だったりする。
問題はご都合主義過ぎるエピローグで、ここは(あの「匂わせ」を差し引いても)流石に白けたが、作品のテーマ性には合致しているので目を瞑ることにしよう…。

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