いまここにあるもの

カメラとか自転車とかアニメとか映画なんかが好きなオタクが管理する闇鍋ブログです。調子が悪いと文章が破綻します。旧ブログはこちらに移管しました→https://otaku4160.hatenablog.com

『ゴジラvsコング』(2021年) -★★★☆☆-

f:id:otaku4160:20210607161717j:plain

『ギャレゴジ』で味を占め『ドハゴジ』で失速し怪獣人気もオワコンと「モンスターバース」の打ち切りを決めたのに、COVID-19禍において逆転満塁ホームランの大ヒットを記録し一転シリーズ継続となった『ゴジラvsコング』が原作国であるにも拘らず全世界から数ヵ月遅れという冷遇っぷりでようやく公開されたので鑑賞。

原作を『ファイナル・デスティネーション』と勘違いしたとしか思えないグロい描写とバカなティーンエイジャーの痴情に終始した最悪のネトフリ版『デスノート』の監督というだけで嫌な予感しかしなかったが、期待値が低かったお陰か「正統派怪獣プロレスムービー」として及第点以上の出来でビックリ。

ただし人間ドラマはこれまで以上に必要性が無くなり、真面目に怪獣シーンを切り張りした「ファスト映画」と見紛うレベル。
思わせぶりに登場した我らが小栗旬も椅子に座って白目を剥くだけのオモシロ枠で、聞けば「芹沢博士の息子」という設定も後付けだったそうで、当然そこには信じられないくらい何の意味も込められていない。

さて事前のインタビューで監督は「今回は白黒つける!」と豪語していましたが、案の定『バットマンvsスーパーマン』よろしくな逃げ方をして、これでよく「『キングコング対ゴジラ』の有耶無耶なラストが好きじゃない」などと言えたもんだ。

肝心のメカゴジラ登場にしても、そもそも前作の伏線が露骨だったし、おもちゃメーカーや監督が公開前にネタバレするもんだからサプライズも何もあったもんじゃない。

そして香港でのバトルはナイトシーンが多く、例によって画面がゴチャゴチャで何をやっているか分かり難いし、壊しても壊しても無限に増殖する高層ビル群をこれでもかとぶっ壊し続けるもんだから最後は食傷気味になること請け合い。

個人的に本作で一番良かったのは「アスカ、来日」(『新世紀エヴァンゲリオン』)を意識したとしか思えない海上での第1ラウンドで、破壊した護衛艦の錨がゴジラに引っ掛かって海に引きずり込まれるカットや、コングごと転覆する貨物船など、今までの怪獣映画には無かった描写の連続で唸らされました。

そんな訳で本作は知能レベルを小学生に戻して、怪獣プロレス"だけ"を堪能するのが正しい作法。
数時間後には忘却するレベルのうっすい内容ですが、観ている間は遊園地のアトラクション並みに興奮できるはずです。