いまここにあるもの

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『地球外少年少女』(2022年)

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数々の名作アニメに参加してきたスーパーアニメーター・磯光雄さんが『電脳コイル』以来、実に15年振りに手掛けた監督作『地球外少年少女』が劇場公開と同時にネトフリで配信されたので鑑賞。

キャラクターデザインに吉田健一さん(『OVERMANキングゲイナー』『交響詩篇エウレカセブン』『ガンダム Gのレコンギスタ』)、作画監督井上俊之さん(『魔女の宅急便』『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』『人狼 JIN-ROH』『さよならの朝に約束の花をかざろう』)を迎えるなど、そのクオリティは折り紙付き。

物語は2045年の近未来。
極限まで進化したAIが人類に課した「はかりごと」により制御不能に陥った商業宇宙ステーションから、月で生まれた子供たちと、地球生まれの子供たちが力を合わせて脱出を試みるサバイバル劇。

キャッチーなビジュアルを含め一見すると子供向けなのだが終盤はガッツリSFにシフトし、人類が抱える数々の問題を風刺しながらも最終的に未来への夢と希望を抱かせるポジティブなメッセージで締め括られるのが本当に素晴らしい。

宇宙を舞台に普遍的な人間愛を描く辺りクリストファー・ノーランの『インターステラ―』に通じるテーマ性を感じていたら、ラストシーンに同監督の『TENET テネット』の冒頭にテロが起こる劇場を持って来るもんだから思わずニヤリ。

現実との地続き感を演出する緻密な描写、未来を予見する先進的なガジェット、お約束のキモカワマスコット、そして魅力的なボーイミーツガールなストーリーと、磯光雄さんの才能に改めて感服させられました。
惜しむらくは、このストーリーをもっと長い尺でじっくり観たかったのですが、それでも傑作である事に変わりなく、今回も間違いなく「星雲賞」や「日本SF大賞」といった賞レースに絡んでくることでしょう。