前作「京都大火編/伝説の最期編」のように単純に前後編に分割するかと思いきや、「人誅編」と「星霜編」のように時間別に分けてきたのが意外だった「最終章」。
前日譚の本作『The Beginning』が何故『The Final』より後に公開されるのか疑問だったが観れば納得、素晴らしい采配である。
最初に『るろうに剣心』を実写化すると聞いた時「追憶編」であれば見込みがあると思ったが、チャンバラ活劇ではない血生臭い殺陣や史実を織り交ぜた「大義」に翻弄される人々のドラマなど予想通り本格派時代劇な仕上がりになっている。
捕縛された剣心=抜刀斎が相手の耳を噛み千切り奪った刀を口に咥え十数人を斬殺し血の海を作り出す導入部からしてこれまでのシリーズとの違いが明確に表れており、勇み足だった「The Final」は何だったのかと思うレベルで丁寧な描写が最後まで続き別物感が半端ない。
監督や出演者の顔ぶれから『龍馬伝』の番外編とも言えなくないが、内容的にはシリーズ史上最も原作に忠実な実写化となっており、特に淡い色彩や一部の場面などは明らかに傑作と名高いOVA版を意識して作られている。
一作目で清里役に窪田正孝くんを配していたのも本作で生きて来たし、有村架純さんの巴も幸薄感がよく出ており、何より佐藤健くんの芝居はシリーズラストだからこそ出せた深みであり、儚くも美しいクライマックスを経て一作目へと至る円環構造によって締め括られるラストシーンなども見事でした。
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