いまここにあるもの

カメラとか自転車とかアニメとか映画なんかが好きなオタクが管理する闇鍋ブログです。調子が悪いと文章が破綻します。旧ブログはこちらに移管しました→https://otaku4160.hatenablog.com

『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』(2021年) -★★☆☆☆-

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ロンドン五輪007にエリザベス女王をエスコートさせたダニー・ボイルが満を持してメガホンをとるはずが降板となり、代わってキャリー・ジョージ・フクナガが就任し完成させたダニエル・クレイグ卒業作『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』。

COVID-19の影響で1年半の公開延期を経て、ようやく日の目を見た訳ですが、蓋を開けて見れば無理やり延長させた挙句、強引に終わらせた感が強く個人的には…。

前作でこれまでの因縁に決着をつけ綺麗に着地させたにも拘わらず、それを覆して追加されたヒロインの過去や、捕まったのにやりたい放題なブロフェルド、行き成り現れる更に凶悪な第三勢力など、とにかく後出し設定の強引さが目立つ。

本編時間はシリーズ最長でありながら説明不足な点も非常に多く『ボヘミアン・ラプソディ』で一躍時の人となったラミ・マレック演じる本作のヴィランが能面を付けていた理由とか、どうやってスペクターを越える組織を作り上げたのかとか、何故マドレーヌにあそこまで固執するのかなど、肝心な部分が一切語られないのは致命的。
掘り下げ不足故「義眼の部下」にすらキャラ負けしている上、カリスマ性も感じられず「最後の敵」というには余りに役不足

アクションに関しても1つ1つはもの凄く画になっているのに編集が淡白な所為かイマイチ盛り上がらず、同士討ちを考慮しない位置関係で包囲する敵だったり、空気を読んで着弾を遅らせる優秀なミサイルなど「おいおい…」という描写もチラホラ。

肝心のジェームズ・ボンドもマドレーヌと顔を合わせればチュッチュして、昔の女を引き摺って離れたりよりを戻したり引退したり復帰したり、人間臭いと言えばそれまでだが一貫性が無さ過ぎではないか?。
そんなボンドに「新たな繋がり」が出来るというのはシリーズの新機軸だけど、一部の国の人間が喜ぶ「家族愛」の押し売りと取れなくもないし、お定まりな展開に持ち込むラストも「泣け!」と言わんばかりの露骨なBGMと演出に私はかえって冷めてしまった。

ブレードランナー 2049』の「ホログラム彼女」や、『ナイブズ・アウト』の「ゲロイン」でお馴染みのアナ・デ・アルマス演じる「新米エージェント」は最高に輝いていたが、映画全体としては登場人物のバックボーンやドラマ面などもう少しどうにかできなかったのかと思わずにはいられなかった。