いまここにあるもの

カメラとか自転車とかアニメとか映画なんかが好きなオタクが管理する闇鍋ブログです。調子が悪いと文章が破綻します。旧ブログはこちらに移管しました→https://otaku4160.hatenablog.com

「転送者 皆川亮二短編集」 (小学館)

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ネトフリ版『SPRIGGAN』の配信が待ち遠しい皆川亮二さんの短編集を遅ればせながら読了。

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精神を過去の人間に転送し歴史改変を目論む悪の組織の計画を阻止するエージェントの活躍を描いた表題作「転送者」は作中ネタにしている通りプロットはほぼ『ターミネーター』で、画風は直近の『SPRIGGAN』で一般人がバンバン殺されるのは『ARMS』に通じる血生臭さがある。
設定的に主人公の容姿が毎回コロコロ変わるので連載化の話は立ち消えになったとの事ですが、このリベンジが主人公を変えず乗り物を変える『D-LIVE』だったりするのだろうか?。

打って変わって「ユーキャンドゥーイット?」は皆川さん自身が好きな野球を題材にした読み切りで、普段のアクション物とは違う青春スポーツドラマがもの凄く新鮮。
当然人死にも無しです(笑)。

敗戦濃厚な戦争末期、ティーガー戦車を操るドイツ兵を主役にした「奪還」は、『ARMS』のキース・グリーンによるギランドキャニオン大虐殺回を発展させた全編台詞を廃し画だけで魅せる意欲作。
あとがきで同時期に「女の子たちが戦車に乗って戦う漫画」=『ガルパン』がブレイクしていたという話に笑ったのですが、皆川さんが描く「戦車もの」の次回作読んでみたいですね。

父親だったり母親など意外な人物が最強というのは皆川作品の鉄板なのですが、それで1本やり切ったのが「S.O.L」。
ストーリーはあってないようなもので「野菜で893を殺す無茶苦茶強いおばちゃん」という一発ネタがやりたかっただけの作品なんだけど、この内容なら変に人死にとかシリアス入れず全編ギャグに振り切った方が良かったのではないだろうか?。

最後は遂に完結した『進撃の巨人』の原作者・諌山創さんが原作を手掛けた問題作「the Killing Pawn」。
某「テニヌ」よろしく「将棋」とは名ばかりの、その一手で対局相手を殺すバトルマンガ(爆)。
本当の意味での一発ネタで頁数的にも短編中の短編。
深く考えたら負けな作品でした(苦笑)。