
御年82歳の宮崎駿監督が長編作品引退を撤回し取り組んだ『君たちはどう生きるか』を観る。
スタジオジブリ一社出資による実質「自主制作映画」であり、故に「宣伝なし」という鈴木Pの奇策に誰も口出しできず、それでもご存じの通り大ヒットとなったもんだから「宣伝費使うのバカみたいじゃん」という流れになっているのだが、ぶっちゃけこんな手何度も通じる訳ないし、そもそも宮崎駿監督のネームバリューあっての物種なので、そこらの馬の骨がマネしたところで結果が出せるとは到底思えない。
未だに本編カットのメディア露出もなく、パンフすら未発売という箝口令が続いており、それがSNSなどの口コミ効果すら抑制しているように感じるのだが、恐らくどっかのタイミングで情報解禁して一気にブーストを掛けるつもりなのだろう。
個人的にジブリ信者じゃないし、宮崎駿監督作品も未見なのがちょいちょいあるので、フラットな気持ちで挑んだが「監督すげぇ!」と思うところと「それはどうなん?」と思うところが半々って感じ。
身体性溢れるキャラクター表現、驚異的な火や風や水の描写、そして恒例ジブリ飯テロなどなど、手描きアニメの神髄をこれでもかと堪能できる映像面の満足度は非常に高い反面、もの凄く丁寧でじっくり進む前半パートと比べ、後半パートがかなりダイジェストでペース配分に関しては大いに疑問が残る。
ネタバレは避けて書くが前半あそこまで時間を掛けて作った「道具」が伏線として機能しなかったり、クライマックスも勇み足過ぎて少なくとも私はカタルシスを得る事はできなかった。
登場人物や時代設定などから監督が自身の人生を投影した物語として読み解く向きもあるが、ジブリ映画を観に来る層にそんな穿った評論家みたいな視点を求められても困るし、だったら最初からきちんと宣伝で要点を伝えとけよ…というのが私の率直な感想。
世間の評価も賛否両論で宣伝ゼロ戦略による弊害がモロに出ている印象だが、それでも傘寿を越えてこれだけの映像を作ってしまう宮崎駿監督のイマジネーションの凄まじさには感服せざるを得なかった。
それにしてもウルトラマンやってFFやってジブリの主題歌をやった米津くん。
あと何を担当すればグランドスラム達成だろうか?。