いまここにあるもの

カメラとか自転車とかアニメとか映画なんかが好きなオタクが管理する闇鍋ブログです。調子が悪いと文章が破綻します。旧ブログはこちらに移管しました→https://otaku4160.hatenablog.com

『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』(2022年) -☆☆☆☆☆-

ジュラシックパーク』はそもそも2作目が既にアレで、いろいろ言われてる3がむしろサバイバル物として手堅く纏まって好印象だったのに、「ワールド」になって単なるアトラクションムービー化し、大風呂敷を広げまくった割に稚拙で浅いメッセージ性と、何より生物の多様性・命の尊さを謳いながら現在の生態系を完膚なきまでに破壊する恐竜の放逐とかいう身勝手なエコテロリストムーブに開口したシリーズ完結編がアマプラに入ったので観た。

人類と恐竜の共存とか言ってるが、真っ先に駆逐されるのが自然界で暮らす数多の野生生物であり、その時点で底の浅さが透けて見える。
だいたい恐竜(肉食を含む)がそこら中にいるのに、社会システムが何も変わっていないのが笑っちゃって、人口密集地にくらい警官や軍隊を配備して警護しなきゃ経済活動なんて行えないし市民も暴動を起こすだろって話。
危ない恐竜を扱ってる闇市場の連中ですら全く武装してなくてパクパク食われて、これはギャグか何かですか?。
いやホント人はパクパク食われるのに恐竜が銃で撃ち殺される描写は一切ないのは凄いなと思う。

今回の目玉は新旧キャスト夢の共演なのだが、オリジナルキャストが終始お笑い芸人みたいな立ち振る舞いで、ワールド組もクリス・プラットの「恐竜使い」要素どこいった?って感じ。
既存キャラも活かせてないのに新キャラばんばん投入して大世帯化し、にもかかわらず誰も死なないからハラハラドキドキ感もゼロ。

オマージュと言えば聞こえは良いがワールド三部作は過去作と同じ展開・構図ばっかで利己的な巨大企業の社長が恐竜使って商売して最後は食われるとかいうオチもホント何回目だよ…。

1作目の恐竜が現代に蘇ったワクワク感も無くなり、小型恐竜は半ばポケモンみたいな扱いだし、大型種はデザインがどんどん派手になりその戦いっぷりはもはや怪獣映画のそれでしかない。
(ちなみにピーター・ジャクソン版の『キングコング』ほどではないが、執拗に巨大昆虫を見せられるので虫嫌いの人は要注意)

フィクションに現実を持ち込むのは野暮であることは重々承知しているが、とは言えここまで説得力が無いと映画に浸る以前に冷めてしまう。
それならそれで頭空っぽで楽しめるアトラクションムービーに徹してくれればまだ愛せるのに、クローン人間の苦悩とか巨大イナゴによる食糧問題など中途半端に社会派気取ってアピールするから腹立つんだよなぁ…。