いまここにあるもの

カメラとか自転車とかアニメとか映画なんかが好きなオタクが管理する闇鍋ブログです。調子が悪いと文章が破綻します。旧ブログはこちらに移管しました→https://otaku4160.hatenablog.com

『LAMB/ラム』(2021年) -★★★☆☆-

『ミッドサマー』を手掛けたA24プレゼンツという前情報と不穏な海外トレーラー。
そして小島秀夫監督による猛プッシュや、SNS上で繰り広げられたネタバレ上等なアダちゃんの日本観光ほのぼのPRで意外なヒットとなった『LAMB/ラム』がアマプラ入りしたので2023年の映画はじめとする。

自然豊かな山奥で暮らす羊飼いの夫婦。
子供を亡くした辛い過去を胸に日々をおくる2人はある日、羊の出産に立ち会うが生まれてきたのは子羊ではないか「何か」だった…。

北欧の絵画的で美しい風景の中、じわじわと不安を掻き立てていくJホラーに通じる演出でもって、亡き子の面影を重ね「何か」を溺愛していく夫婦+αによる狂気の家族ごっこ

向こうでは羊肉がポピュラーで体毛は防寒用に重宝されるなど、その存在が生活に根差しており、夫婦が飼う羊たちも食用として出荷される設定だそうで、そうしたお国柄やお約束の宗教的なアレコレを踏まえて観ると「何か」の存在やラストは実に象徴的で深読みのし甲斐がある。

ただビジュアル的な部分を抜きにすれば世にも奇妙な「家族と戒めの映画」といった装いで、「禁断」とかいう仰々しい宣伝を鵜呑みにし、ホラーやスリラーという先入観で持って見ると案外ガッカリさせられるかもしれません。