いまここにあるもの

カメラとか自転車とかアニメとか映画なんかが好きなオタクが管理する闇鍋ブログです。調子が悪いと文章が破綻します。旧ブログはこちらに移管しました→https://otaku4160.hatenablog.com

『THE BATMAN-ザ・バットマン-』(2022年) -★★★★☆-

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監督・主演を務める予定だったベン・アフレックの降板、パンデミックによる撮影遅延~公開延期など紆余曲折を経て『猿の惑星』を見事にリブートし高い評価を得たマット・リーヴスロバート・パティンソンを主演に迎え完成させた新生バットマン

「ゾディアック事件」をモチーフにバットマンが探偵の様に謎を解き明かすフィルム・ノワールという触れ込み通り、デッドプールがおちょくった「暗さ」に「地味さ」が加わり、およそヒーロー映画とは思えないトーンで物語が展開していく。

ダークナイト』がマイケル・マンの『ヒート』を参考にしたというのは有名な話だが、今作は陰鬱とした雰囲気・降りしきる雨・不気味な殺人事件・犯人に翻弄される主人公などデヴィッド・フィンチャーの『セブン』を想起する点が非常に多い。
(フィンチャーは「ゾディアック事件」を題材にした映画も撮っているので間違いなく意識しているはず)

復讐に取り憑かれ悪党を力任せにボコボコにしていく破滅的な主人公は憧れのヒーロー像とは程遠く、派手なアクションシーンは添え物程度でサスペンス要素と心理描写に全振りした渋々の大人向けバットマン
これを観るとリアル志向と言われたノーラン版ですら滅茶苦茶エンタメしていたのだと実感すること請け合い。

3時間近い上映時間も苦にならない知的好奇心を擽る内容で楽しめる一方、予告がハイライトかつネタバレ過ぎで先の展開が悉く読めてしまったのがただただ残念でならない…。