いまここにあるもの

カメラとか自転車とかアニメとか映画なんかが好きなオタクが管理する闇鍋ブログです。調子が悪いと文章が破綻します。旧ブログはこちらに移管しました→https://otaku4160.hatenablog.com

『シン・エヴァンゲリオン劇場版𝄇』2回目は無性に泣けた。(本編ネタバレ含む)

土曜日に観に行って、急ごしらえの「新2号機α」と「エヴァ改8号機γ」みたく、ようやっと形になった感想のような何か。

「追告」で公式が「ネタバレ解禁」したから、良いと思うけどこれから観に行くって人はそっ閉じ推奨。 

正直に白状すると初日の鑑賞ではあの結末が腑に落ちなかったというか、もっとエンタメ全振りの怒涛のラストバトルと分かり易い大団円に持っていくとばかり思っていたので戸惑ったというのが率直な感想で「これは荒れるぞ…」とスタッフロールを観ながら冷や汗をかいておりました。

それは物量がエグ過ぎて完全に別アニメな「ヤマト作戦」だったり、「マイナス宇宙」で展開する第3新東京市のミニチュアセットやミサトさんの部屋で親子喧嘩する初号機と第13号機だったり、観る者によって認識が変わる「エヴァイマジナリー」の違和感しかない顔だったり、アスカ×ケンケンのカップリングだったり、最後のシンジくんの声変わりだったりする訳です。

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んで困惑させられた1回目から2週間隔を開けて挑んだ2回目なのですが、無性に泣けたんですね。
1回目も「第3村」のレイで泣かされたけど、2回目は15分に1回くらい涙が出た。
先の展開が分かっているので色々想いを巡らせながら観賞したのですが、絶対に回収しないと思った『新劇場版』の伏線の数々を拾い上げ「旧世紀版」で救われなかったキャラクターたちを救済していくのが、こう、ぐっと、ね…。

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シンジくんは「旧世紀版」だとカヲルくんを手に掛けて、そっから再起できなかったんだけど、今回は自分に好意を抱いてくれている友人の想いや、自分の命と引き換えに新たな槍を届けて散ったミサトさんの願いを受け止めた上で、憎んでいた父ゲンドウを「殺す」のではなく「対話」する展開が感慨深過ぎて、とにかく泣けました。

終盤のゲンドウの独白とか完全にシンジと立場が入れ替わっていて、もしや『旧劇場版』のシンジがループしてこのゲンドウになったのでは?とか思っちゃったんだけど、流石にそれは無かった(苦笑)。

第13号機に取り込まれたアスカを救済するのが「あの場所」で、出撃前の言葉に応える形で「僕も好きだった」と別れを告げケンスケの下に送り出したり、初号機の中に居たレイや、あのカヲルくんまで「エヴァの呪縛」から解放するんだから、「大人になったな…」と謎の親心で感涙。
ホントあの碇シンジが誰かの背中を押す側になるなんて誰が想像しただろうか?。

自分のした事に「ケジメ」を付け、どんどん簡略化され絵コンテや原画になり消え掛けた彼を有言実行で迎えに来るのがマリというのは意外だったのですが、よくよく考えれば新参者の彼女しかこの役割は担えなかったのかなぁ~と2回目で納得。

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そして四半世紀を経て為された「新世紀(ネオンジェネシス)」のタイトル回収。
エヴァの無い世界で成長したチルドレンたちがそれぞれの人生を歩みだす流れは『貞本エヴァ』と同じなのですが、正直この結末ならエンディングは「残酷な天使のテーゼ」を流して、そっから「one last kiss」に変化した方がしっくり来たような気がするんだけど、それはちょっと狙い過ぎかな?。

それにしても最後の最後でぶっ込まれた一番の衝撃案件である「シンジくんの声変わり」。
端的に少年が大人になった事を示したかったと思うんだけど、ここで神木隆之介くんを持ってくるのは長年、碇シンジを演じてきてくれた緒方恵美さんの手前「ええええええ」と思ったのは私だけではないはず。

カヲルくんがいきなり加持さんに「渚指令」とか呼ばれて、仲良くやっていたのは2回見ても「?」でゲンドウが途中で離脱し、それを引き継いだからああなったのか、以前の世界のビジョンなのか、考察サイトとか見れば一発で分かるんだろうけど、自分で発見したいので新しい入場者特典とか来たら3回目も行くつもり。

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とにかく『シン・エヴァ』は普通じゃない。
それに尽きます。

『旧劇場版』でも映画館の客席を映したり、声優さんたちが実写で登場したり、庵野さんへの殺害文が大写しになったり、メタフィクション的な試みをしていたけど、今回も作中の事でありながら、現実世界のエヴァという現象そのものへの言及とも取れるキーワードが多く、ゲンドウの独白の一部は庵野さんの苦悩の代弁っぽいし「エヴァの呪縛」に「ケジメ」を付けたシンジもまた庵野さん自身なのではないかと思えてなりません。

パンフレットで緒方恵美さんを始め多くの声優さんが、人気作故これからも役柄を演じる機会はあるだろうと述べていますが、少なくとも庵野さんが新たなエヴァを作る事は年齢的にも無いでしょうね。

次回作は完全新作のオリジナルアニメか、はたまた独創的な実写作品か、もしくは原作通りに描く『シン・ナウシカ』か、肩の荷が下りた庵野さんの次の一手が今から楽しみです。