天気が悪かったので、すこぶる評判が良いエドガー・ライト監督の『ベイビー・ドライバー』を遅ればせながら鑑賞。
とある事情で「逃がし屋」として犯罪の片棒を担ぐ純朴な青年が全てを投げ打って意中のあの子と逃避行を企てる青春×ラブロマンス×犯罪映画となっており、Jon Spencer Blues ExplosionのBellbottomsに乗せて展開する冒頭のカーチェイスからオシャレなMVを観ているような感覚に陥る。
さながら音楽通のエドガー・ライト監督が自身のプレイリストに合わせて作ったような作品で、登場人物の心象や話の展開にマッチする楽曲が適時選曲され、最終的にエンジン音や銃声までビートを刻み出す様はさながらミュージカル映画のようですらある。
スキャンダルで抹殺されたケヴィン・スぺイシーの憎めないボスや、嬉々として危ない奴を演じるジェイミー・フォックス。
温厚そうで実は一番…なジョン・ハムに、友情出演的なジョン・バーンサルなどなど、人気俳優が揃っているが、それに負けないアンセル・エルゴートとリリー・ジェームズのフレッシュな魅力も素晴らしい。
ドライビングテクだけでなく身体能力もなかなかチートなベイビーが虫も殺さないような顔をしてやる事がなかなかえげつなく、それで「優しい子なんです」はちょっと説得力無かったけど、地に足の着いた落とし所を含め昔気質な作風は一周回って新鮮でした。
しかしトッド・フィリップスの『ジョーカー』もそうだけど過去の名作映画にリスペクトを捧げ、極力CGに頼らないこういう作風が今のご時世受けるんですかね?。