『ボーダーライン』『ウインド・リバー』などアメリカが抱える諸問題をテーマにした作品で知られるテイラー・シェリダン脚本の『最後の追跡』を鑑賞。
ある目的の為に銀行強盗を繰り返す兄弟と、それを追うテキサス・レンジャーの姿を描いた犯罪ドラマ。
日本における『シン・ゴジラ』のように、古今東西、その土地や国に暮らす人々だけが肌で感じることの出来る物語というのがあって、本作もまさにそういうタイプの作品。
広野に点在する石油の掘削機、後継者不足のカウボーイ、甘い言葉を囁く金融機関、先住民族や移民の扱い、銃で武装した自警団、etc.
日本人にはピンと来ない要素ばかりなのだが「そこにある何か」を風刺していることは感じられ、人々が内に抱えた「複雑な思い」を映像の端々から読み取ることができる。
草臥れたクリス・パイン。肥えたベン・フォスター。老害なジェフ・ブリッジス。
スターオーラをかなぐり捨てた豪華俳優陣が織り成す、渇いた漢たちのドラマが印象的な渋い作品でした。