真面目モードで制作した『ミッドウェイ』が振るわず、確実に稼げる十八番のディザスター映画をこしらえるもパンデミックによる映画館離れも相まって大コケしたローランド・エメリッヒの『ムーンフォール』が日本では配信スルーとなったので暇つぶしに鑑賞。
隕石では飽き足らず今度は月を地球に落とすというだけでトンデモなのに、そこに宇宙人まで絡めるエメリッヒの欲張りセット。
『ゼロ・グラビティ』な冒頭に始まり『2001年宇宙の旅』『ターミネーター』『インデペンデンス・デイ』『アルマゲドン』『宇宙戦争』『トランスフォーマー』etc.といった往年のSF作品を有象無象の大破壊と中国ヨイショで「溶接」したオリジナリティの欠片も無いビジュアルや展開は一周回って関心させられる。
言わずもがな『インターステラー』のような緻密な科学考証なんて一切無いし、肝心のスペクタクルシーンもCG臭が酷過ぎてリアルのリの字もありゃしない。
お約束の家族愛や自己犠牲でお涙を頂こうとする陳腐なクライマックスを含めドラマパートは「そうはならんやろ!」の連続で、これは観客がツッコミを入れる為に作られたコント映像か何かなのだろうか?。
(もしくは鼻くそをほじりながら締め切り30分で書き上げた素人脚本をハル・ベリーやパトリック・ウィルソンが演じさせられる罰ゲーム)
本編は2時間と長尺なのに中身スッカスカで、最近映画やドラマを倍速視聴する不届き者が増えているそうだが、このレベルの作品ならそれで十分かもしれません。