
『ハート・ロッカー』『ゼロ・ダーク・サーティ』のキャスリン・ビグロー監督がNETFLIXでこしらえたポリティカル・スリラー『ハウス・オブ・ダイナマイト』を観る。
米国本土に向けて発射された1発の大陸間弾道ミサイルに対し、政府はどのような手段を講じるのかを描いたこの作品。
ミサイルが着弾するまでの数十分間を視点を変え繰り返し描くと言う点でピート・トラヴィス監督の『バンテージ・ポイント』(2008年)を想起するが、一般人の視点を廃し政治家や政府職員・専門家たちが米国への核攻撃という「想定外」に対処するという点はもしかしなくても米国版『シン・ゴジラ』。
専門用語やテロップは言うに及ばず、『シン・ゴジラ』で大河内総理が「今ここで決めるのか?、聞いてないぞ!」と困惑する姿があったが、本作でも米大統領が正体不明の敵に対し核による報復攻撃の決断を迫られ狼狽するなど、随所に共通点を観る事ができる。
ただ『シン・ゴジラ』が現実社会を風刺しながらも人類の善性によって希望を見出すエンタメだったのに対し、本作は「世界は巨大な火薬庫であり、我々はいつ爆発しても可笑しくない場所に住んでいる」というゾっとする現実を突きつけて幕を下ろす。
(これがタイトルの「ハウス・オブ・ダイナマイト」の意味でもある)
問題提起するタイプの作品なので答えは提示されず、カタルシスは微塵も無いのだが、こんなにも簡単に世界の終末は訪れるという事実を直視する意味で観る価値のある力作であることは間違いない。
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