デッドプールという自然体過ぎる当たり役の所為で何をしていてもデップーの影がチラつくようになってしまったライアン・レイノルズが後に『アダム&アダム』『デッドプール&ウルヴァリン』でタッグを組むショーン・レヴィ監督と初コラボした『フリー・ガイ』を観る。
『GTA』などを彷彿とさせる犯罪行為も何でもありなカオスなゲーム世界で同じルーティンを繰り返すだけのモブキャラがある日自我に目覚めるという設定からして面白いのだが、ありがちな「ゲームキャラにも命があるから殺してはいけない」とかいう暴力ゲーム否定~説教話に持っていかず、オマケかと思われた現実世界の男女のロマンスも綺麗にフォローする脚本が巧い。
向こうの有名ゲーム配信者を出演させるメタ要素、チャニング・テイタムやクリス・エヴァンス、果ては声の出演でヒュー・ジャックマンやドウェイン・ジョンソンやジョン・クラシンスキーがカメオ出演する全体のノリが『デッドプール&ウルヴァリン』への伏線になっていたのも笑わずにはいられない。
CG臭の強いアクションも「ゲームの世界」だから文句のつけようがないし、それでいて「何ものでもない誰か」がヒーローになるストーリーは現実世界を生きる人々へのエールにもなっている意外にも胸熱な作品でした。