既に秋新番が始まっているが、9月に終わった作品の話をする。
スタート時に触れた3作品は読み通り良かったのだけど『小市民シリーズ』は『氷菓』の作風で考えていたら犯罪行為が横行する岐阜の治安が世紀末だったり、千反田える的な可愛らしい不思議ちゃんと思っていたヒロインか話が進むにつれ上田麗奈さんが演じそうなナチュラルサイコであることが判明し恐怖したのは私だけではないはず。
主人公と袂を分かつ10話でもって唐突な最終回を迎え「早くね?」と思ったら2期の告知があったので実質分割放送なのだけど、クオリティがかなり高かったのでその維持を考えればこれが最適解かな?。
しかしこれ、2期で登場人物の関係性はどうなってしまうのだろう?。
今期ダークホース的な盛り上がりを見せた『負けヒロインが多すぎる!』はエンディングの実験的な手法を含めたアニメスタッフのアプローチもさることながら、負けヒロインズが三者三様魅力的だったというのがやはり大きく、中でも汚い声で鳴き匂わせ投稿をする暴食系残念ヒロインという前代未聞の属性でもって圧倒的な存在感を残した八奈見杏菜はこのクール全ての作品の中で間違いなく「勝ちヒロイン」であった事は間違いない。
作画スタッフの愛の籠った一挙手一投足もそうだが、直近の『ワンルーム、日当たり普通、天使つき。』の清楚な天使さまからのギャップが凄まじかった遠野ひかるさんの熱演は間違いなく彼女のターニングポイントになるだろうと思うし、現時点で次の声優アワードの主演女優賞最有力候補だと感じている。
『逃げ上手の若君』は「素晴らしく・ぶっ飛んだ・松井優征作品」とあって面白さは保証されていたのだけど、『その着せ替え人形は恋をする』や『ぼっち・ざ・ろっく!』の安心と安定のCloverWorksが「アニメ化とは斯くあるべし!」という手本をまたしても示してくれた。
ただ丁寧にやったが故に物語があんまし進んだ感がなく、原作のストックも結構あるのに2期の告知がなかったのは意外で、12月のジャンプフェスでステージがあるらしいので、そこで何かしら発表があることを期待したい。
上記3タイトル以外では『異世界失格』が予想に反して「ちゃんとした」と言ったら失礼だけど、某文豪バトルアニメで江戸川乱歩をやっていた神谷浩史さんに太宰治(言及されていないが)を配役した点を含めネタ枠だと侮っていたので良い意味で裏切られた。
中の人的に絶望先生味を感じなくもない捻くれた主人公の性格付けもこういう作品では新鮮で、異世界ファンタジーとしても世界観など割と真面目な作りをしており、人間の善性と悪性、人生の戒めなんかをきっちり盛り込んだストーリーも面白かったです。
直接的な関係はないとは言え時勢的に「やって大丈夫か?」と心配だった『時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん』だけど、国内外からそういうコンプラ云々の声は無かったので私の考え過ぎだったのかもしれない。
一時期残念作が続いた動画工房制作かつ、同時放送の『推しの子』2期にスタッフのリソースが割かれると考えていたので、最後までクオリティが維持されたのは正直予想外。
こちらも最終話で即続編制作を告知してきたけど、最近は「分割放送」と最初にアナウンスするのが避けられていたりするのだろうか?。