リュック・ベッソンが監督し第80回ベネチア国際映画祭コンペティション部門に出品された『DOGMAN ドッグマン』を観る。
ある夜、大量の犬を連れ負傷したドラァグクイーンが警察に保護される。
接見したカウンセラーに語りだす彼の壮絶な半生とは?。
女殺し屋やその復讐劇といったお得意の要素を封印し挑んだリュック・ベッソンの新境地。
親に虐待された子供や人間の都合で捨てられた犬たちといった、虐げられた者たちにフォーカスしたドラマがとにかく味わい深く、むしろ終盤の取って付けたようなアクションシークエンスが雑音で「無くても良かったのでは?」とすら感じてしまう。
予告を含め配給会社は何をトチ狂ったか「ダークヒーロー」などと宣伝しているが、それを言うなら「ベッソン版ジョーカー」といった方が相応しく、社会に見捨てられ化粧をし煙草をふかしたケイレブ・ランドリー・ジョーンズ演じる主人公の姿がホアキン・フェニックスとダブって見えた。
例によって、わんちゃん大活躍だけど『ジョン・ウィック:チャプター2』の「ドッグ・フー」よろしく、死ぬのは人間だけなので愛犬家の皆さまもご安心ください。