『ゲット・アウト』や『アス』で批評家から絶賛され今最も新作が期待されている監督の1人と言っても過言ではないジョーダン・ピールの『NOPE/ノープ』がアマプラ入りしたので鑑賞。
過去作は気になりつつも肌の色を絡めた社会風刺が強いと聞いて棚上げしていたため、何気にこれが初ジョーダン・ピール作品。
第一報から不穏かつ謎めいた予告で大いに興味を掻き立てられたのだが、割かしその印象のまま「空から何かが襲ってくる」というシンプルな構図の作品だったなという印象。
各所で言われているが物語は確かにシャマラン風味で、『ジョーズ』『未知との遭遇』『E.T.』『宇宙戦争』などスピルバーグ作品をリスペクトしつつ、そこに『ツイスター』や『トレマーズ』、日本の特撮映画『宇宙大怪獣ドゴラ』を混ぜ込んだようなイメージ。
(インタビューでは『新世紀エヴァンゲリオン』の使徒がモチーフとか言ってたけど、どう見てもドゴラだよね?)
冒頭の旧約聖書の引用から、トラウマ必至の血塗れチンパンジー、主人公と馬の関係性など、過去作が過去作だけに隠れたメタファーを考察する声が多いけど、ぶっちゃけそんな小難しいことを考えず監督が好きな要素ぶち込んで好きなものを撮ったジャンル映画でいいんじゃね?と思う。
(『AKIRA』のバイクスライドブレーキなんてその最たるものだし)
自分たちを脅かす存在が現れたら普通のハリウッド映画だと「俺たちでやっつけよう!」と自衛~討伐展開に走るのだが、「俺たちで正体を暴いてやろう!」とその姿を撮影することに熱を入れるのが象徴的で、時代設定は今だけど「そうはならんやろ!」な展開を含めどこか古めかしく風変わりな作品でした。