アフガン紛争の中でも特に激戦と言われる「カムデシュの戦い」を映画化した『アウトポスト』を観る。
素人目にも立地が最悪な四方を山に囲まれた前哨基地。
偵察され放題・狙撃され放題な割に人員も装備も乏しく、上層部の無茶な指令で有能な上官は事故死するわ、後任はまともな判断を下せないヘタレだわ、「米軍ってこんなブラック企業みたいなの?」と驚かされること請け合い。
案の定、敵からの猛攻を受け甚大な被害を被るのだが、十中八九これはこんな場所に基地を築き、兵を送り込んだ連中の責任なのだが、本作はそこを追求することなく、絶望的な状況で耐え凌いだ現場の兵士たちの勇姿を粛々と描く。
籠城戦というシチュエーションはマイケル・ベイの『13時間』だが、現場の兵士がしわ寄せ食らうのは『ブラックホーク・ダウン』のそれに近い。
前半は前哨基地の日常を丁寧かつ淡々と描き、エンドロールでは当事者のインタビューを交えるなど、実話を元にした映画というより再現映像に力を入れたドキュメンタリーといった趣きの強い作品でした。
