いまここにあるもの

カメラとか自転車とかアニメとか映画なんかが好きなオタクが管理する闇鍋ブログです。調子が悪いと文章が破綻します。旧ブログはこちらに移管しました→https://otaku4160.hatenablog.com

『マトリックス レザレクションズ』(2021年) -★★☆☆☆-

PS1からPS2、VHSからDVDへシフトする新世紀前夜。
終末感漂う暗い世に彗星のごとく現れ「映像革命」と呼ばれた『マトリックス』三部作のその先が描かれる『マトリックス レザレクションズ』がネトフリに加わったので鑑賞。

予告の段階からメタフィクション的なアプローチで来るだろうと思っていたが、ネオというかアンダーソンくんというか、ほぼ素のキアヌな髭面の冴えないプログラマーが伝説的なゲーム『マトリックス』を制作したという事になっていて、同僚や会社から続編を作れとかその方向性はこうするべきだとやいのやいの言われるのなんて、どう考えても監督の実体験。

何より笑ったのが密かに思いを寄せる人妻キャリー=アン・モスの旦那を今現在キアヌとタッグを組んで『ジョン・ウィック』を制作しているチャド・スタエルスキ監督に演じさせるというのが悪ふざけにも程があるww。
役名もまんまチャドだし「どんなNTRだよ!!」と画面の前で大爆笑。

桜並木の中を走る高速列車を「トーキョー」と紹介してしまう『ブレット・トレイン』がマトモに見えてくるニポーン描写や、登場人物がドヤ顔で「スピンオフで待ってるぞ!!」とか「バレットタイムだ!!」と言ってしまう痛々しさを含め、久し振りに同窓会で集まって意気投合し深夜テンションで作ったセルフパロディ感がもの凄い。

ただそうであればなおの事、ローレンス・フィッシュバーンヒューゴ・ウィーヴィングの不在は大き過ぎるマイナスで、それを取り繕うセリフが私にはキャスト変更の言い訳にしか聞こえなかった。

アクションやビジュアルのインパクトは一作目に遠く及ばず、今現在『ジョン・ウィック』で毎回キレッキレのアクションを披露するキアヌが『PUSH 光と闇の能力者』みたいな「ハンドパワー」だけで戦うのも退屈なら、ゾンビ集団に追い回された挙句、エージェントでなく武装ヘリがラスボスというクライマックスもカタルシスに欠けた。

役者の年齢か、はたまた製作費の問題か、何もかもスケールダウンした感は否めないものの、議論の的になるプロットに関しては個人的に嫌いじゃないし、小難しい話を抜きにして悲劇的な結末を迎えたネオとトリニティを救済するボーナスステージと考えれば、そこまで悪い作品ではないと思えた。