NETFLIXが2億ドルの製作費を投じ『アベンジャーズ/エンドゲーム』のルッソ兄弟を監督に据え、『ブレードランナー2049』のライアン・ゴズリング×『キャプテンアメリカ』のクリス・エヴァンス×『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』のアナ・デ・アルマスを共演させた話題作『グレイマン』の配信が始まったので鑑賞。
前々から楽しみにしていたのだが、蓋を開けてみればマイケル・ベイの『6アンダーグラウンド』に負けず劣らずな凡作でガッカリさせられた。
物語はCIAの凄腕エージェントが任務の最中、組織の腐敗の証拠を手に入れてしまい追われる身になるという手垢の付いた筋書きで、『ボーンシリーズ』のような知的でスリリングな追走劇が展開するかと思いきや、無敵な主人公が危なげなく刺客を返り討ちにして人質が囚われたアジトに殴り込む21世紀版『コマンドー』でビックリ。
暴力賛美と酷い人命軽視描写の連続にも拘らず、安っぽい師弟~家族愛~自己犠牲でお涙頂戴しようとする厚顔無恥さを含め昔のハリウッド映画にオマージュを捧げているとしか思えない。
ヒーローを卒業して吹っ切れたクリス・エヴァンスがサイコパスを嬉々として演じているが、軽口をたたくパワハラ三下ムーブでおよそ優秀とは思えず悪役としての魅力やカリスマ性も皆無。
対する善人ライアン・ゴズリングも『ブレードランナー2049』のK、あるいは『ドライヴ』のドライバーが転生したような何時もの無口・無表情っぷりでワンパターンにもほどがある。
今最もホットなアナ・デ・アルマスにしてもファンが激増した『ノー・タイム・トゥ・ダイ』のパロマと同じような役柄で出演時間はより長いのに、あちらの方が百万倍魅力的で恋しくなること請け合い。
登場人物の掘り下げも総じて雑で、策謀や駆け引きのドラマもあって無いようなもの。
金を掛けたアクションにしても派手で見応えはあるが近年の『ワイルド・スピード』同様、CG臭くてどんな凄いことが起こっても心を動かされることはない。
尻すぼみなクライマックスの残念さも凄まじいが、何より男同士のタイマンにフェミニストへの忖度なのか邪魔が入ったのにはどっちらけ。
あれだけの事をしておいて「全部キャプテンアメリカがやりました」で無罪放免とかガバガハにもほどがあるし、それならそれで主人公があのインテリメガネを処してくれれば少しは気分も晴れたのに「どこいくねーん!!」って感じでカタルシスもゼロ。
NETFLIXのオリジナル作品って冗談抜きでこんなんばっか。
やたらと称賛するコメントを見聞きするけど真面目に8割は駄作でしょ?。