映画の中ではファミリーの素晴らしさを説きながら現実世界ではヴィン・ディーゼルとドウェイン・ジョンソンがケンカ別れをし、その穴を同じくレスラー上がりの中国には頭の上がらないジョン・シナで埋めたシリーズ第9弾がアマプラに追加されたので鑑賞。
ここ数作は監督を当番制にしていたが、久し振りにシリーズを立て直したジャスティン・リンがカムバックし、盟友サン・カン演じる人気キャラのハンも柿ピー片手に黄泉がえり。
冒頭から軍隊がライフルを斉射しても主人公チームには一発も当たらず、それでいて主人公チームが撃つ弾は百発百中なチートを使ったヌルゲー実況状態。
地雷原は「爆発する前に走り抜けろ!!」という「右足が沈む前に左足を出せ!!」理論で突破し、車は物理法則を無視して崖を飛び越え車体は大破しても搭乗者は無傷で生還する。
リアリティをドブに捨てたアバンだけで食傷気味なのだが、アメリカの片田舎で泥棒をやっていた連中が、いつの間にか世界の危機を頼まれてもいないのに救う自警団気取りのヒーロー映画になってしまい別物感ここに極まれり。
ステレオな正義とテンプレな悪党が荒唐無稽なバトルを繰り広げ、後付け設定で死んだ仲間がホイホイ生き返り、手を変え品を変え最強の敵が現れては次回作で仲間になる流れは最早『ドラゴンボール』であり、そう思って観れば目くじらを立てる事もないのかもしれないが、それでも流石にワンパターンでキャラクター人気に頼り切った稚拙な脚本を含めネタ切れ感が透けて見える。
今回はヴィン・ディーゼルの俺様映画感も酷く、中盤以降はアメコミヒーローと勘違いしたようなヒロイックなシーンの連続で、ドウェイン・ジョンソンが腹を立てる気持ちもなんとなく理解できてしまった。
『6アンダーグラウンド』と被った磁石ネタは都合よくくっ付く金属と付かない金属が入れ替わり(その辺りむしろ『X-MEN』のマグニートーに近い)、『デッドプール2』で観た大型トレーラーのクラッシュシーンもCG臭がキツ過ぎてげんなり。
どっかの独裁者みたく民間人の巻き添えなんて気にしない大迷惑な市街戦など、娯楽映画と言えどもう少しリアリティや説得力を持たせるべきではないか?。
次の2部作で完結するらしいが、最後はもう少し大人の鑑賞に堪えられるようにして欲しいものだ…(;一_一)