商業媒体としては最初の「Fate」である「stay night」の第3にして最後を飾る「桜ルート」を『劇場版 空の境界』からTYPE-MOONと蜜月関係が続くufotableが映像化した劇場三部作最終章。
最後の一線を越え堕ちてゆく間桐桜。
彼女だけの正義の味方である事を選んだ衛宮士郎。
明らかになる「聖杯」の真実と言峰綺礼の真意。
人々の願望を飲み込む過酷な「運命」に抗う最後の戦いがここに決着する。
「エミヤ」が流れてアガりまくりなバーサーカー戦から、激しすぎて全員生き埋めになりそうなセイバーオルタ戦、そして腹の内に溜まったものを吐き出す言峰綺礼との「殴り合い宇宙」ならぬ「殴り合い地中」と、前2作で丁寧に士郎と桜の心の機微を描いてきたぶん良い意味で箍が外れ、ボスラッシュと言っても差し支えない激戦を畳み掛ける。
これまでのルートでは見せ場がなかった麗しきライダーの勇姿もたっぷり堪能できるし、凜が長年秘めていた桜への想いや、歪んだ士郎の正義の味方論の決着など、まさにシリーズ総決算。
予備知識や補完が必要な箇所などファンムービーとして割り切った部分も間々あるのですが、それは原作最長ルートを映画3本分の尺に落とし込む為の必然であり、その上で物語の要点をしっかり押さえあのラストシーンへ持って行った監督以下スタッフの原作愛に万雷の拍手を送りたい。