『ロード・オブ・ザ・リング』や『キング・コング』のピーター・ジャクソンがプロデュースを務め、長年その右腕として視覚効果などを担当してきたクリスチャン・リヴァースを監督に抜擢したんだけど、評判も興行もイマイチだった『移動都市/モータル・エンジン』をアマプラで鑑賞。
観終わった直後は「そんな悪くないじゃん」と思ったが、いざ感想を書こうとすると確かに言及するところがない事に気付き「なるほど確かに微妙な作品だ」と考えを改めた次第である。
現代文明崩壊後の世界を舞台に過去の遺物である大量破壊兵器を用いて覇権を握ろうとする悪党(演じるはヒューゴ・ウィービング!)を成敗するという、どこを切ってもテンプレな物語。
スチームパンクな動く城や飛空艇など、日本人的には『ファイナルファンタジー』他、宮崎駿監督の『ハウルの動く城』や大友克洋監督の『スチームボーイ』など、どっかで見たようなビジュアルに親近感が湧く一方、目新しい要素は皆無で、長編原作を2時間に詰め込んだ為、ストーリーもダイジェスト感が強く登場人物の心の機微などもザックリ処理され、いろいろと勿体無い印象を受ける。
主人公たちのキャラも弱く、2人合わせても赤い服を身に纏い銃を片手に大立ち回りを演じるリーゼントの姉さんの足元にも及ばないのは如何ともしがたい。
ボーイ・ミーツ・ガールな出会いからロードムービー展開を経て世界を救う『天空の城ラピュタ』な冒険活劇は退屈こそしないが、全てがお利口に作られた結果酷く凡庸な仕上がりになってしまっていた。
これならネット配信のドラマシリーズとして時間を掛けて丁寧に作った方が良かったのではないだろうか?。