いまここにあるもの

カメラとか自転車とかアニメとか映画なんかが好きなオタクが管理する闇鍋ブログです。調子が悪いと文章が破綻します。旧ブログはこちらに移管しました→https://otaku4160.hatenablog.com

『GODZILLA 星を喰う者』(2018年) -★★★☆☆-

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虚淵玄さんが脚本を手掛けたCGアニメーションゴジラ三部作完結編。
巷ではくそみそに叩かれているので、どんな酷い内容かと思いきや普通に面白くて、長く続いている人気シリーズに付き纏う頭の固い原理主義者は嫌だなぁ~と改めて痛感した次第である。

人間的な感情によってゴジラを倒す機会を逸し、最後の希望である「メカゴジラ」まで破壊された人々はメトフィエスの啓蒙に陶酔しゴジラすら超える存在「ギドラ」に救いを求めるようになる。
だがそれはゴジラのみならず、あらゆる生命を喰い尽くす高次元の破壊者だった…。

またしてもゴジラそっちのけで続く人類とビルサルドのいがみ合い。
その裏で人々の不安に付け込んでエクシフが自分たちの信仰を布教し勢力を拡大していくのだが、冷静に見ればこれこそ人類の縮図ではないだろうか?。

やがて顕現する「ギドラ」の強さはシリーズ史上最強といっても過言ではなく、なんせ別次元の存在で、あらゆる物理法則を無視するのだから、まさに「勝てる気がしない」とはこの事である。
国産でも米国版でも「ゴジラのライバル」と言われつつ毎回やられ役としてボコボコにされる惨めったらしさなど微塵も感じさせず、人類が繁栄すれば何度でも蘇ることが示唆されるなど、ホントこれくらいやってくれないと面白みがないってものだ。

あの特徴的な鳴き声も効果的に使われてるし、フツアが崇めるモスラも象徴的に登場させるなどシリーズのテイストをきちんと残した上で、クリストファー・ノーランの『インターステラー』やドゥニ・ヴィルヌーヴの『メッセージ』、アレックス・ガーランドの『アナイアレイション』といった作品に通じるSF要素やビジュアルで彩られた本作は、思考停止し過去作の劣化模造を繰り返すよりよっぽど有意義かつ知的好奇心を満足させる観る価値のある物語だったと私は思う。

怪獣物としてはこの三部作の前史である「怪獣黙示録」を映像化した方が支持されただろうが、そもそも今回のプロジェクトは東宝が「新たなゴジラファンを獲得したい」と、これまでと違ったアプローチを求めた結果であり、本作のスタッフはきちんとそのオーダーを完遂した訳だから、好き嫌いは別としてその点は正当に評価されるべきではないだろうか?。