ソシャゲ、漫画、アニメ、小説と多岐にわたって展開するFateシリーズの原点である原作ゲームの中で最も長編かつ物語の確信に迫る最終ルート「Heaven's Feel」を三部作で映像化した劇場アニメーション第二弾。
膨大な原作テキストから士郎と桜のエピソードを丁寧にすくい上げ、2人の関係にフォーカスし濃密なドラマを描く本作は『UBW』ではぐらかした濡れ場などに正面から挑むなど映画媒体であることを差し引いても攻めた作りになっている。
桜だけの正義の味方になるというこのルートの士郎のスタンスは、これまでの歪な正義の味方と比べ感情移入し易く、「一番純粋な正義の味方だから応援したくなる」という植田佳奈さんの言葉にも激しく同意。
現在メガヒット中の『天気の子』もそうですが、杓子定規な優等生回答より私はこういう選択の方が親近感がわくし真に迫るものがあるように感じます
アクションシーンは前作より限定的ですが、その分ハイライトとなるセイバーオルタvsバーサーカー戦は火力増し増しで「どう考えても隠蔽できないだろww」と多くの観客がツッコミを入れたに違いない。
ともすれば前作の言峰綺礼の飯テロに続く数少ない笑いどころと言えるかも?。
比喩表現の塊である桜の夢のシーンとその直後に描かれる現実のエグさ。
覚醒した黒桜が浮かべる嘲笑とも自嘲ともとれる笑み。
そして暗転して流れる彼女の心情を歌い上げる完璧な主題歌「Aimer/I beg you」と最後まで作り手の作品愛が素晴らしかった。
最終章の「spring song」はタイトルを聞いた時点で既に来るものがあるのですが、果たして原作を順守した結末になるのか?、はたまた映画オリジナルのアレンジが加わるのか?。
このスタッフであれば何の心配もいりませんが、より素晴らしいものになることを今から期待しております。