いまここにあるもの

カメラとか自転車とかアニメとか映画なんかが好きなオタクが管理する闇鍋ブログです。調子が悪いと文章が破綻します。旧ブログはこちらに移管しました→https://otaku4160.hatenablog.com

『天気の子』(2019年)

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君の名は。』で知る人ぞ知るアニメ作家から世界の人々に認知される存在となった新海誠監督待望の最新作。
本編上映前に『シン・エヴァ』の最新特報という発狂物の不意打ちがありながら、それを物ともしない魅力的な作品に仕上がっており私は大いに楽しめました。

新海監督らしいモノローグと圧倒的な背景美によって綴られる「故郷に嫌気がさした家出少年」と「天気を操る力を持った訳あり少女」が繰り広げるド直球なボーイミーツガール。
君の名は。』の主要スタッフが引き続き参加していることもあって、随所に散りばめられたお楽しみ要素を探すのも面白いし、懸案事項だったノンプロ主体の配役も一様に嵌っており、特に『シャンバラを征く者』での残念さが嘘の様な小栗旬くんの等身大の演技は本作のMVPといっても過言ではありません。

序盤こそスポンサーさま推し推しのダイレクトマーケティングが鼻につきますが、実在の企業や商品を登場させ広告費を貰い制作費やスタッフに還元するのは決して悪い事では無いし、むしろ世界規模で親しまれるアニメーションでこそこういう試みを積極的に行い労働環境の改善に繋げて頂きたいと思う。

空模様によって一喜一憂する人々の気持ちを膨らませたストーリーは長梅雨で日照不足が続く現実世界と恐ろしいほどリンクしており、ライブ感を得る為にも今この瞬間観る事を強くお勧めしたい。
鑑賞後、外に出た時の空模様で作品の余韻が変わるかも?。

雨の降り続ける街で「晴れ」を呼ぶことで人々を笑顔にしていく2人。
順風満帆かに思われた彼らの生活だが、やがて力の代償と重い現実がその肩に伸し掛かる…。

「世界とあの子を天秤にかけて~」という終盤の展開は『新劇場版:破』とその結果である『新劇場版:Q』のようなもので、公開前に監督が「評価が分かれる」と発言していたのも納得。
でもこの作品「現実と虚構」「正気と狂気」「正常と異常」「日常と非日常」といった相反する事柄が象徴的に描かれており、伏線なんかを拾って行けばあのラストもそこまで突拍子無くも無いんですよね。
つまり世界からすれば主人公の選択は狂気なんだけど、主人公に言わせれば最愛の人を犠牲にして浮かれてる世界の方が狂気だった
そして酷い有様になった東京も実は今までが狂っていただけで選択とか関係なしに正常な状態に戻っただけかもしれないということ。

まぁ真偽の程はどうであれその罪悪感を背負った2人が心の底から幸せになれるのかという疑問はありますし、苦難にめげず前を向いて生きて行く人々の姿で締め括られるとはいえ現在進行形で水害に苦しんでいる方々が本作を観たら気分を悪くするかもしれません。

私個人としては集大成である『君の名は。』を経て描いた作品がこういう落しどころになるというのが興味深く、世間に媚びて全部丸く収めなかったところに監督の反骨心のようなものを感じ唸らされたのですが、前作が前作なだけに世間の評価は相当荒れるでしょうね。

取り敢えずアニメやマンガで主人公とヒロインが自転車の二人乗りをしているのが許せない人は絶対観ない方がいいです。
あと「このご時世に容疑者逃がすとか警察批判ですか?」とか「なんで線路走ってて誰も捕まえないんだよww」とか「逮捕されたのに何で起業に成功してんの?」みたいなマジレスする人も向かないでしょう。