いまここにあるもの

カメラとか自転車とかアニメとか映画なんかが好きなオタクが管理する闇鍋ブログです。調子が悪いと文章が破綻します。旧ブログはこちらに移管しました→https://otaku4160.hatenablog.com

『いぬやしき』(2018年) -★★★☆☆-

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休みだけど激雨で外出できなかったので『GANTZ』から現在大ヒット中の『キングダム』まで実写化専任監督として数々の作品を手掛けてきた佐藤信介さんがメガホンをとった『いぬやしき』を鑑賞。

原作は『GANTZ』の奥浩哉さんによる同名コミックで、家庭に居場所が無い余命宣告を受けたオヤジと、好意を抱く相手以外の生き死にに無頓着な高校生が手違いで宇宙人に機械化され、それぞれの願望に従いその力を振るっていく日本版アイアンマン。

木梨憲武さんのうだつの上がらない犬屋敷と佐藤健くんのサイコパスな獅子神が嵌り役で、前者はアニメ版の小日向文世さんとは違った哀愁を漂わせ、後者は自身初となる悪役を見事に演じ切っている。

突飛な設定もさることながら倫理的に規制されそうな獅子神の所業をそのまま映像化した点も注目で、一家惨殺や新宿での無差別殺戮などこのご時世によくやったものだと感心させられる。
後半は現代社会の醜い部分がより強調され、獅子神の復讐にある種の正当性を感じさせるよう改変されているのが面白い。
彼の善人としてのドラマが割愛されてしまったのは残念だが、アルマゲドンな隕石パートをバッサリカットしたのは個人的に正解だったように思う。

この監督の映像センスは釈由美子版『修羅雪姫』の頃から光るものを感じていたが、今回もクライマックスの空中戦など十分すぎるほどの出来栄えで、ハリウッド映画の十数分の一の製作費でこれだけのものが作れてしまうのだから見事という他ない。
鳩と人で意味合いが重複するシーンがあったり、伊勢谷友介さん演じるオリジナルキャラの必要性など、取捨選択を誤っている部分はあるものの、全体的に綺麗に纏まっていて観応えがありました。